石橋代表個人のブログ さかいハッタツ友の会

発達障害の自助グループを主宰してます。家族会と当事者会があります。開催回数と年間のべ参加者数で日本一のセルフヘルプグループです。

大人の発達障害(ADHDなど)についての質問に対して、「まずは診断を」という回答は間違っているし、質問者はそういう回答を無視していいと言える理由

ADHDの当事者です。26歳の時に診断を受けました。発達障害ADHDなど)についての質問に対して、「まずは診断を受けてから」という回答は間違っている!と断言できます。質問者はそういう回答を無視していい、と言える理由は以下です。1、そもそも診断できる専門医が非常に少ない。特に成人の発達障害を診れる医師は少ない。運よく近所にあったとしても、何ヶ月も先の予約を待たないといけない。お医者さんでも、知識のない人は、素人と同じと考えてOK。専門医以外の診断は、二次障害に陥る危険性がありますので、ご用心。
※この1、2年でずいぶんと外来をしてくれる医療機関が増えました。ですので、ネットで調べれば割合に出てくるようになってます。喜ばしいことです。2、診断基準がまだまだ曖昧で、医師個人の考え方や志向によって、同じ患者さんでも医師によって診断結果がまったく異なったりする。MRIやCT、血液検査など、物理的差異はまだ発見されていません。
※諸説があり、確定はされていない、という意味です。なので、発達障害の診断はとても時間と手間がかかる上に、判断が難しい。医師にとっても悩みの種なのです。医療関係者に話を聞くと、「開業医で発達障害を診だしたら、つぶれる」というのが定説だそうです。ひどいお医者さんになると、「私は成人の発達障害の存在を認めていない。」と明言する人もいてます。こんなお医者さんにかかってしまったら、とっても不幸です。
 
※最近はサクッと診断をくれるお医者さんもちらほら。それは決して悪いことではありません。大切なのは発達障害かどうかではなく、実際に社会生活に困ってるかどうかですから。3、診断を受けれたとしても、対処法は投薬くらいしかない。しかも大人の発達障害の場合は、薬の種類にかなりの制限があり、その薬が効かなければ、その他の手段がない。投薬といっても、すべて対症療法です。この症状は完治しません。そもそも病気なのかも未解明。診断を受けたとしても、この特性とは一生向き合っていかないといけないのです。4、診断を受けたとしても、発達障害単体での障害者手帳(または療育手帳)の取得は非常に困難。※不可能ではありません。困難であるというだけです。単体でも取得できるのは、発達障害に対して相当に理解のあるごくごく一部の精神科医のみです。そういう先生にあたれば、単体でも取得は可能ですが、一般的には難しいといえます。
 
※これも、近年ずいぶんと取得しやすくなりました。良いことです。ただ、取得したとしても精神2級。これでは、ほとんどメリットありません。5、診断の結果、発達障害であると断定されても、社会(会社・学校)には発達障害を受け入れるシステムはまだまだ未整備。結局は健常者と同等に社会で勝負していかねばならず、かといって本当の障害者になることもできない。私たち大人の発達障害当事者は、健常者でもなく、障害者でもないのです。6、未診断でも、発達障害支援センターや就労支援サービス、ならびに当事者自助グループに参加することができます。発達障害に知識がある人は、
発達障害で最もヘルプが必要なのは未診断の『グレーゾーン』の人たちだ」
という認識があります。逆に言うと、それを分かってない人は、発達障害に対してド素人ということです。
 
 
さらに、自助グループを運営している人たちは、これらのことはすでに分かっています。
なので、未診断を理由にグループ参加を断られることはありません。
 
自助グループに参加するのに、診断は不要です。
 
そんなことを心配しているのは、自助活動の内容を知らない人だけです。・まとめ以上のように、診察を受けることすら困難で、診断の基準も曖昧、また診断を受けれたとしても結局は自力で努力するしかない、というのが現状です。そんな現状を分かっていたら、当事者からの相談に対して「まずは医師の診断を」なんて言葉が出てくるはずがありません。そんな回答をする人は、この症状に対して無知であることを露呈しています。・診断できる病院が極めて少ないのにどうやって診断を受けるの?・診断を受けるまでは何ヶ月もかかるのに、それまでどうするの?・診断結果がグレーだったり、発達障害じゃない、と言われたら「健常者としてがんばれ」「おまえの努力が足りん」と言うのでしょうか。・診断結果が発達障害だと言われたら、次にどんなアドバイスをしてあげるの?・診断を受けても受けてなくても、現時点での支援制度は利用できます。もちろんまだまだ貧弱ですけど。・発達障害の当事者の多くは、健常者が想像できないような努力をして社会適合しています。そういうことは知らないでしょ?なので、
質問者の皆さんは「まずは医師の診断を受けろ」なんて回答をする人を無視して良いのです。発達障害に対して知識のない人間の言葉は聞き入れる必要はない。それは、家族や親しい友人でも同じです。医者でも専門外はド素人と同じ。なぜなら、知識のない人たちに私たちの情況を理解することは不可能だから。そういう人たちに理解してもらう必要はありません。ほっといていい。それよりも、自分たちに理解を示し、助けてくれる人たちを探しましょう。一番の仲間は、やはり当事者です。当事者だから理解できるし、アドバイスできることがあります。
 
現時点での、唯一、実効性のある対処法です。発達障害は対処を間違えなければ、キチンと社会適合できます。一緒にがんばりましょう。
補足
私は「診断は不要だ!」と言いたい訳ではありません。
専門医の診断はやはりどこかのタイミングで必要でしょう。すべての事柄よりも診断が最優先であるかのうような意見に対して、反論したいのです。発達障害に対する知識がないなら、回答しなければいいのです。
私は、未診断でも、グレーゾーンでも、症状に対して自覚があるなら、当事者達が考えた対処法を実践していくべきだと考えます。診断が出るまで待っていては社会適合できなくなってしまうのです。
また診断した結果「あなたは発達障害ではない」といわれた人も、未診断発達障害当事者として、自分を対処すべきです。
大切なのは診断や診断の結果ではなく、自分自身への対処法だと思うからです。
※「自分自身への対処法」と表現すると、勘違いされそうなので補足しますが、健常者の考える努力とは異なる努力をしなければいけない、という意味です。その努力は、健常者から見れば笑われるような種類のものです。でも、それこそが私たち当事者にとって必要なことなのです。
 
補足2

 発達障害に知識の無い人が、一生懸命答えていただけるのはありがたいですが、申し訳ないけれども、そのアドバイスは不要であるどころか、当事者たちにとってはマイナス効果しかありません。
 本当に申し訳ないけれども、知識が無いのなら発達障害に関する質問に対して、無理に回答しないでいただきたい。だって知らないんだから。
自分の回答数稼ぎに使わないでくださいね。
 
 あと、現時点での解決策は、当事者による自助グループに参加することしかない、といっても言い過ぎではありません。仲間がいることは心の支えになります。
たくさんの支援体制ができつつはありますが、それらの支援をうけるためには、まず当事者が、この障害特性を受け入れる必要があります。
当事者自身が障害特性の受容なくして、第三者からの支援は意味をなしません。医療行為でさえ拒否してしまうでしょう。
仮に診断を受けても、障害特性を受け入れていない人が、第三者からの支援を受け入れることができると思いますか?
私には無理でした。
すべての支援の前段階にあるものが障害特性の受容であり、それができるのは自助グループだけだ!と言いたいのです。
逆に言うと、心が持ちこたえることが出来れば、社会適合できるチャンスはたくさんあります。心が折れた状態では、医師ですら手の施しようがないのです。
必要なのは、自己肯定感です。なんとかこれを保てるようにしてほしいものです。
 「社会に適応できない言い訳だ!」と言われても、まったく問題ありません。
 
出来ることなら、発達障害が言い訳であってほしい。
 
努力して何とかなるなら、それほどうれしいものはない。
 むしろ、言い訳であってほしい。
本当にがんばって出来るようになるなら、メッチャがんばるよ。
 
でもね。
足を切断した人が100mを早く走ることは無理だし、それを求める人もいない。
手指を切断した人に、細かな手作業を求める人はいない。
 
でも、発達障害は外見から識別できないので、普通であることを求められる。
 
極端な話、世の中が人がみんな発達障害だったら、こんなに生きにくい世界じゃなくなると思う。
 
もっと、他人に対してやさしくなれるよ。
 
私は自分が発達障害に生まれてきて、とっても感謝しています。