石橋代表個人のブログ さかいハッタツ友の会

発達障害の自助グループを主宰してます。家族会と当事者会があります。開催回数と年間のべ参加者数で日本一のセルフヘルプグループです。

発達障害の子を持つ親御さんへ

私はADHD当事者42歳です。自助グループを主宰し、発達障害の支援活動や啓発活動をボランティアでやっています。次に話すことは、それらの経験から思ったことであり、私の主観になりますがお話をしたいと思います。

私たちの自助グループにも、たくさんのご家族さんが来られますし、私自身も個別にご相談にのったりしています。多くは、発達障がいのある小・中・高校生のお母さんです。みなさん非常に苦労されています。そういった中には、子供さんの問題行動が本当に大変な状態になっている場合もありますが、そんなお母さんにたちに共通しているのは本当にわが子のことを想っているのだなー、ということです。
 このことは、当然と言えば当然ですが、私が言いたいのは残念ながら良い意味ではなく、1言で表現するならば、むしろ悪い意味に近いかもしれません。すなわち、

「お母さんのそういう強い想いが、発達障害のお子さんを悪い方向に追いやってしまっている」ということです。
 ここで、勘違いして欲しくないのは、発達障害の子供を社会適合できなくしたのはお母さんだ!と言いたいのではない、ということです。

ましてや、育て方が悪かったのでもないんです。

私も含めて発達障害は先天性のものであり、お母さんはまったく悪くありません。むしろ、独特の特性がありますから、とっても育てにくかったんじゃないかと思います。私自身のお母さんに言う言葉があるとすれば、そんな育てにくい子供をよくぞ、ここまで育ててくれたと、思います。そのくらい感謝しています。

でもね、お母さん。その「母子密着関係」が、発達障害の子ども達の自立を阻害してしまっている可能性があるということも知っていただきたいのです。私への批判は覚悟の上で、次のように私なりに考えています。
 まず、中学生以上になったら、手はかけずに、「目をかけて」あげてください。失敗もあえて経験させる。その上で、「お母さんはどんなことがあっても、あなたの味方だよ」と強く想っていてください。それだけで良いのです。手出し、口出ししたい気持ちをグッと抑えて、子ども達が失敗から立ち上がるのを見守ってあげてください。ちょっとしたことでも、褒めてあげてください。それだけで、子ども達は自然と自立していけます。「子供をほったらかしにしろ」と言いたいのではありません。お母さんのその気持ちだけで十分だと言いたいのです。
 例えば、発達障害のお子さんは、その特性から、出来る事と出来ないことに差が大きくあります。普段、お子さんの出来ることを褒めてあげていますか?普段、出来ないことばかりを口すっぱく言い続けていませんか?

結論から言えば、そんなことをしていると逆効果です。子ども達は、出来る事すら出来なくなり、社会適合できなくなってしまいます。出来ることを褒め、出来ないことは何も言わずフォローしておくことが大切です。親として、いろいろアドバイスしたくなるでしょうが、そこは我慢。色々とお母さんから言われても、子ども達の身にはならず、むしろ逆効果となることすらあります。
 お子さんに世の中で失敗しつつ様々なことを経験させる勇気を持ってください。お母さん方も、事実そうして成長されてきたでしょ?大丈夫。お母さんの想いがあれば、彼ら彼女らは、必ず自分の力で立ち上がります。
 お母さんのすべきことは、突き詰めれば、たったひとつ。長所も短所もひっくるめて、その子のありのままを受け入れてあげること。それが出来るのは、お母さんだけです。教師や役所の人やカウンセラーやお医者さんに、それを求めるのはやめましょう。それは彼らの仕事じゃない。おたくの子を認めてあげるのは、お母さん、あなたの仕事です。

言い換えれば「積極的に子供の成長を待つこと」です。 それ以外はオマケです。親御さんがやりたいならやったらいいし、やらなくても支障はないのだと思います。なぜなら子供は阻害要因がなければ、親の想像を超えて成長するから。 親が阻害要因にならないために、積極的に待つのです。「その子を丸ごと受け入れてあげる」のが親御さんの仕事です。