石橋代表個人のブログ さかいハッタツ友の会

発達障害の自助グループを主宰してます。家族会と当事者会があります。開催回数と年間のべ参加者数で日本一のセルフヘルプグループです。

発達障害児を持つお母さんへ

発達障害のお子さんを持つお母様へ


私はADHD当事者41歳です。自助グループを主宰し、発達障害の支援活動や啓発活動をボランティアでやっています。その経験から思ったこと。あくまで、私の主観です。

 

私たちの自助グループにも、たくさんのご家族さんが来られます。また、個別にご相談にのったりもしています。多くは、小学生・中学生・高校生の発達障害を持った子供さんのお母さんです。みなさん非常に苦労されています。子供さんの問題行動が本当に大変な状態になっている場合もあります。そんなお母さんにたちに共通してしているのは、本当にわが子のことを想ってるんだなー、ということ。


当然と言えば当然ですが、私が言いたいのは良い意味ではないです。


むしろ逆に悪い意味です。

 

もっとキツイ表現が許されるならば、「お母さんのそういう強い想いが、発達障害のお子さんを悪い方向に追いやってしまっている」ということです。

 

ここで、勘違いして欲しくないのは、発達障害の子供を社会適合できなくしたのはお母さんだ!と言いたいのではない、ということです。

 

ましてや、育て方が悪かったのでもないんです。私も含めて発達障害は先天性で、お母さんはまったく悪くありません。逆に、独特の特性がありますから、とっても育てにくかったんじゃないかと思います。そんな育てにくい子供をよくぞ、ここまで育ててくれたと、思います。感謝しています。

 

でもね、お母さん。

その「母子密着関係」が、発達障害の子ども達の自立を阻害してしまっているんです。

私への批判は覚悟の上です。

 

中学生以上になったら、手はかけずに、「目をかけて」あげてください。失敗もあえて経験させる。でも、「お母さんはどんなことがあっても、あなたの味方だよ」と強く想っていてください。それだけで良いです。

 

手出し、口出ししたい気持ちをグッと抑えて、子ども達が失敗から立ち上がるのを見守ってあげてください。ちょっとしたことでも、褒めてあげてください。それだけで、子ども達は自然と自立していけます。

 

ほったらかしにしろ、と言いたいのではありません。気持ちだけで十分だと言いたいのです。

 

発達障害のお子さんは、その特性から、出来る事と出来ないことに差が大きくあります。普段、出来ることを褒めてあげていますか?普段、出来ないことばかりを口すっぱく言い続けていませんか?結論から言えば、そんなことしていると逆効果です。子ども達は、出来る事すら出来なくなり、社会適合できなくなってしまいます。出来ることを褒め、出来ないことは何も言わずフォローしておく。親として、いろいろアドバイスしたくなるでしょうが、そこは我慢。お母さんから言われても、子ども達の身にはなりませんから。むしろ逆効果。

 

世の中で失敗して、経験させる勇気を持ってください。お母さん方も、事実そうして成長されてきたでしょ?大丈夫。お母さんの想いがあれば、彼ら彼女らは、必ず自分の力で立ち上がります。

 

お母さんのすべきことは、突き詰めれば、たったひとつ。長所も短所もひっくるめて、その子のありのままを受け入れてあげること。それが出来るのは、お母さんだけです。教師や役所の人やカウンセラーやお医者さんに、それを求めるのはやめましょう。それは彼らの仕事じゃない。おたくの子を認めてあげるのは、お母さん、あなたの仕事です。
 
 
ちなみにお母さんだけですか? お父さんは?兄妹・姉妹は?周りの人は?というご質問がありました。

 

その子を丸ごと受け入れてあげるのがお母さんの仕事です。お父さんの仕事は、世の中とその子をつなげるのが仕事だと思います。つまり、発達障害の子たちが自立していくまでに、たくさんの失敗を経験します。自分に適した環境にめぐり合うまで、根気強く、社会にはいろんな環境があることを一緒に探してあげることです。時には、キツイことも言わないといけないでしょう。社会的なスキルを教えてあげることも必要でしょう。

 

兄弟・姉妹の仕事はどうでしょうか。

当事者たちにとって、健常な兄弟はコンプレックスの対象です。小さいときから、兄弟姉妹で比較され、それにより劣等感をいだいているはずです。なので、兄弟がしてあげれることは基本的にはない、と思ってもらって良いと思います。ただ、兄弟姉妹は嫌でも影響を受けます。なので、健常なご兄弟の皆さんは、自分自身が精一杯生きることが、当事者たちにとっても励みになります。

 

どうしても何かしてあげたい!という心優しい人(本当にありがとう)は、発達障害に関する知識をつけてほしい。ネットの情報はダメ。偏りがあるから。図書館で3冊は本を読んでください。それで十分です。周囲の方や親戚、彼氏彼女も同じく。