石橋代表個人のブログ さかいハッタツ友の会

発達障害の自助グループを主宰してます。家族会と当事者会があります。開催回数と年間のべ参加者数で日本一のセルフヘルプグループです。

発達障害の強みについて

発達障害とは凸凹なので、必ず強み弱みはある。ただ表裏一体だから、ひとつの特性が時と場合によって強みになったり弱みになったりする。
例えば、キッチリした性格→納期が決まっているタスクだと周囲をイライラさせてしまう。


日本ではある程度のオールマイティが求められるので、強み弱みがはっきりハッタツさんに不利なのはよく知られていること。


しかも、本人の努力でカバーできないことが多い。であれは、周囲の人に助けてもらえる人になるしかない。なので、一般的な職場で必要なのはスキルや得意不得意ではなく、良好な人間関係。

 

職場で単に長期就労を目指すなら以下。

これだけでも充分平和な日常は送れるようになる。

 

1、まず己を知る
自分の凸凹の把握(長所と短所を50個ずつ紙に書き出す、本を3冊読む等)
自分の特性を発達障害という単語を使わずに説明できるようになることが一つの分岐点


2、職場の人間関係の観察
各キャラを紙に書き出す

(答え合わせのための自助会)


3、自分のキャラ演出
自分のできる範囲で、職場の人から見た自分のイメージに近い言動を心がける。


4、感謝の気持ちを言葉以外で伝える工夫を。

口下手で雑談できないからこそ、態度や贈り物で気持ちを表現する方法を考えてみよう。

 

さらに、仕事で大成功したいなら、上記プラス
5、時間とお金と労力を仕事に惜しまない。つまり、他の事を諦める。諦めたものが多いほど得るものは多い。


6、やるだけやってダメなら諦める覚悟を。人事を尽くして天命を待つ。

 

ただ、5と6は相当な覚悟が求められるので、並の人では極めて困難な上、大いに消耗するので、広くお勧めはしない。

でも、やりたい人の気持ちを止めるつもりもない。失敗も人生だから。人間だから一度は社会的成功を手にしたいと思うだろうから。

 

1から4までを毎日淡々とやれば、おのずと強みを活かし、弱みをカバーしてもらえるようになってる。

 

多くの人が目的と手段と結果をあべこべにする。


目的(社会生活を長く平穏におくること)
手段(深い自己覚知と良好で適切な人間関係の距離感)
結果(強みを活かして弱みをカバー)

 

「とにかく行動(練習)」というアドバイスは若い人にオススメ。これを出来るだけ早い時期にやっておくと後の人生が楽になる。失敗も含めてすべて経験値になるから。成功したらラッキー。頭打ちして人は強み弱みを知るから。

 

とはいえエネルギーがもともと少ない人や、減っている人にはオススメできない。勇気を振り絞って起こしたアクションで失敗したら、ダメージがデカくて次に動けなくなるから。


その場合は、内的アクションが有効。自分の振り返りや自己分析、内なる声を聞く練習など。本やネットや物語もよい。


引きこもりはこれに近いので、問題行動ではない理由と言える。


ただ、人は動かなくても消耗する。それは焦燥感。動きたいのに動けない事で消耗する。引きこもりが長期化する原因はコレ。周囲の接し方もあるが、本人の中にある植え付けられた価値観が問題。


そんな価値観を植え付けたのは誰?多くの場合が親。悪気なく「昭和の呪縛」に我が子をかけているという現実。ちなみに、エネルギーが少ない人や減ってる人の原因もこの呪縛。

 

発達障害者の多くがコレにやられてるので、「とりあえず行動!」というアドバイスは的外れになりやすい。

※自己肯定感の残っているADHDにだけ有効。いわゆるバリ層だけが対象。

 

つまり、昭和の呪縛によって、多くの発達障害者が生まれた時から自己肯定感を奪われ、エネルギーを消耗し続け、植え付けられた焦燥感によって休む事も許されない、という状況になっている。そんな人たちに「まずはやってみよう」「失敗しても大丈夫」「強みを活かそう」という声掛けが、どんな反応になるか…

 

多くの発達障害者はギリ層ムリ層。

彼らが求めるのは共感と勇気づけ。

具体的なアドバイスは後でよい。

今までの生き辛さを肯定してあげて、ここまで辿り着けたことを賞賛してやること。

「今のアナタのままでいいんだよ」そんな分かち合いができるのは今のところ自助会だけ。


さらに自助会によって障害受容が自分で出来るようになると、おのずと生き辛さは軽減されていく。ほっといても自分から行動するし、失敗しても再挑戦できるエネルギーも醸成されていくし、自然と強みは活かされる。

 

だから受容や向き合いが先なのよ。そのための自助会。だからアドバイス不要なのよ。

 

さらにオマケ。
障害受容の先には「自己受容」というのがある。自分の特性は受け入れた。でも自分の今の状態には満足していない。もっと上を目指せるんじゃないか?目指すべきではないのか?!向上心!!


自己受容とは、自分の過去現在未来をすべて受け入れる事。あるがままを受け入れたら、向上すべき道はおのずと拓かれる。その道なら必ず成功できる。それが天命。

 

自己受容の前の向上心は焦燥感と似ている。行動を起こすエネルギーにはなるが、心を蝕む。トップアスリートのメンタル保持の難しさはコレ。

 

どうすれば自己受容できるようになる?


「今のままでいいんだと」と腹に落ちるのを待て。自助会を主宰してたら必ずそのタイミングは来る。


今の自分を肯定しても人は成長する。向上心がなくても人は生きてるだけで成長している。なぜなら生活しているだけで日々事件は起こるから。それにガムシャラに対処していくだけでいい。


ひとつ意識すべきなのは内向きのアンテナ。内的アクション。自分との対話する時間。答えは全て自分の中にある。自助会の主宰してると嫌でも自分との対話になる。参加者の発言で自分がどう感じたか、考えたかを記録しておこう。

自分のまだ知らない自分の本心に気がつくようになれば、自己受容は近い。そうなれば全てうまくいく。本心が望むものは全て手に入るようになる。もちろん予想外の方向で。だからアナタは今のままで大丈夫。これからは流れに任せて生きていけばいい。