自助グループには、当事者を救う力がある。
しかしながら、参加者が増えるほど、主催者の負担が増え、トラブルも頻発するようになる。これによって、過去、数多くのグループが出来ては消え、拡大しては分裂した。これを私は「泡沫化・離合集散の時代」と呼ぶ。
少なくとも関西都市圏は、この時代を抜け、次の「ネットワークの時代」に入りつつある。
だが、新しい時代であっても、自助グループの課題は残されている。
①運営組織の脆弱さ
セルフヘルプグループは、個人と個人の繋がりによってのみ構成されている団体なので、小さな要因でグループの運営が揺らいでしまう。
②参加者数の増加によって、グループが拡大していき、対外的活動をしはじめると、共感や勇気づけの効力をグループ内で維持できなくなる現象=「親密さと組織化のジレンマ」を解消する手段は見出せないでいる。
この状況において、私たち「さかいハッタツ友の会」が15年に渡って試行錯誤してきた運営ノウハウは、上記2点の課題について、一石を投じるものである。
つまり、個々のグループ内での自助効果は維持しつつ、規模を拡大し、他グループと連携して、社会全体に働きかける「大きな組織化」していくことを可能にする。
各地の自助グループ(当事者会)がネットワーク化された先には、社会に対して変容を迫る時代がやって来る。否、正確には「社会の側が変容の必要性に駆られて、発達障害の自助グループにその期待を寄せるようになる時代」と表現すべきかもしれない。
その為にいま必要なのは、毎月淡々と開催するグループが増えていくことだと、私は思う。
長文です。
さかいハッタツ友の会の運営の仕組みは以下
1、グループ分化による少人数制の維持
参加者が15人を越えると翌月からグループを分ける。
2、運営の省力化
広報しない。申し込み制にしない。備品を用意しない。イベントをしない。会計しない。参加者同士が連絡先交換しない。トラブルに対処しない。等
3、当事者主体の組織でありながら、家族会も運営している。
4、石橋代表は各グループの運営には関与せず、その代わり3つの任務
①Twitterによる広報
②トラブルの対応
③新しいリーダーのスカウト
※各グループへのスーパーバイズは極力しない。
5、各グループの主催者がすることは4つのみ。
①会場の予約
②予約日時をメッセージグループに投稿して共有
③予約日時に会場に居ること
④それ以外はしなくて良いが「どうしてもしたいこと」は消耗しない範囲でやってよい。
このやり方によって以下のメリットがある。
A、少人数なので主催者(リーダー)のファシリテーション能力が高くなくても運営できる。また開催における手間を極限まで減らしたので、主催者の消耗が少ない。徹底した凡人運営が可能に。現在31グループをそれぞれ別のリーダーが自主運営してくれているので、石橋がいなくても毎月開催される。
B、多グループ制なので様々な日時や場所や属性(カサンドラの会やHSPの会など)に対応できる。今年度1年間で254回開催、オンライン含む。
C、参加者の人数制限をしなくて良いので「面的セルフヘルプ」が可能に。今年度1年間のべ参加者は2000人以上。
D、自助会でのトラブルが容易に。多グループ制なので、モメた当人たちが顔を合わさないように調整するだけで殆ど解決する。過去15年間で出入り禁止処分者はゼロ。
E、グループの運営経験がピアリーダー育成のOJTとなる。いち参加者としてだけではなく、主催運営を経験することは、意欲のある人にとって非常に有効な「実習」だということ。
F、31グループのうち家族会が10グループあるので、既存の公的福祉では手の届いていない「親のケア」が出来る。
G、個々のグループは個人運営でありながら、それらが寄り集まって組織を形成しているので、対外的働きかけが出来る様になってきた。例えば、石橋は現在、堺市発達障害支援センターの運営委員を務める、など。
H、31グループあるのでリーダーと参加者の相性を考慮しなくてよい。参加者が自分に合う会を選択できる。
※リーダーになりたい人は石橋まで直接連絡ください。Twitter Instagram Facebook LINEいずれも実名でやってます。携帯番号は090-6903-6060