石橋代表個人のブログ さかいハッタツ友の会

発達障害の自助グループを主宰してます。家族会と当事者会があります。開催回数と年間のべ参加者数で日本一のセルフヘルプグループです。

発達障害(ADHD)の人が職場で長く務めるためのコツ


ADHD41歳男、会社員です。
 
20代のころにADHDの診断を受けて、この特性のおかげで色んな会社を転々としました。
 
いずれも3年続きませんでした。
 
自分が飽きるということもありますし、ミスの連続で職場に居づらくなったことも。
 
幸運なことに、現在は地元の工務店に拾ってもらい、営業職をしてます。
こないだの5月で14年を超えました。ありがたや。
 
そんなこんなで、17年の社会人経験から得たノウハウをお伝えします。
 
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新しい職場になったら、最優先ですべきこと。
 
1、その職場でのキーマンが誰なのかを観察する。
・役職が高い人がキーマンとは限りません。
・その職場の空気を握っている人が必ずいます。
・キーマンはたいてい仕事がよく出来る人です。
・目立つ人とは違います。
・具体的には、会議での発言がよく通る人です。
・キーマンの言動がその職場の雰囲気を決定づけるのです。
・定型者は無意識にこれらを把握してます。
・分かってないのはハッタツさんだけです。
 
2、職場の人間関係の相関図をつくる。そのためにみんなを観察する。
・自分が理解するための相関図をつくれるように、職場の一人ずつをよーく観察する。
・業務内容を覚えるより大事です。
・各人の趣味や家庭環境、思考パターンや癖など、気付いたことをどんどんメモして蓄積させていきます。3か月も観察してれば、かなりの情報量になります。
・これも定型者は無意識にやっています。メモまではしてませんが、おおまかに把握してます。
・ハッタツさんは、職場の人間関係よりも、自分の職務が大切だと考えがちですが、日本の職場では人間関係の方が業務効率より、はるかに重要視されます。
・仕事は慣れてくれば覚えることが出来ますし、人間関係さえ確保してればフォローしてもらえます。
 
 
3、上記の2点を踏まえて自分がどのような役回りを演じるべきなのかを思考錯誤してみる。
・日本の職場は「異物」が排除される訳ではありません。その場の「空気」に必要なキャラなのかどうかで判断されるのです。
・パズルのピースのようにスポッとはまれば、異質なキャラも受け入れてもらえます。
・あなたが職場に馴染むためには、ある程度の「キャラ作り」「演技」も必要になってきます。
・もちろん無理は禁物。自分のできる範囲内で結構です。
・参考になるキャラは、マンガや小説、ドラマなどの登場人物を真似ることから。
 
 
4、上記3点をやったら、あとは祈るだけ
・人知を尽くして天命を待つ
・「神様、どうか今度の職場ではうまく馴染めるように配慮おねがいします」と祈るのです(笑
・なぜなら、最終的に馴染めるかどうかは50%は「運」だからです。「縁」とも言います。
・その職場と縁があれば長続きします。縁があれば職場に助けてくれる人が現れます。
・周囲に理解してもらえるかどうかも、ハッキリ言って運です。だって、求人票に「周囲の理解多数あり!」なんて書いてないし。
・自分ができることをやって、それでもダメな時もあります。それは縁がなかっただけ。
・あなたは悪くないので、後悔も反省も不要。ガラガラ抽選にハズレてがっかりする必要がないのと同じ。
・めげずに次の職場を探しましよう。縁のある職場に出会うまでチャレンジし続けましょう。
 
 
 補足
・「後悔も反省も不要」と表現したのは、後悔や反省をして改善するなら、こんなに苦しむことなんてない。後悔や反省をして自分のメンタルをさげるは勿体ないから、反省をしないほうがマシという意味です。
 
・無理して人間関係を構築する必要のない環境の人もいると思います。それはそれでめちゃんこラッキーですよね。まさに社会適応出来ている証拠です。
 
・「こんなことまでしないといけないのか!」というご意見も頂きました。単一民族の日本社会では人間関係って重視されますね。帰国子女の友人曰く、海外ではそんなことないらしいですね。でも、私は海外に行く勇気がないので、日本社会ではいつくばって生きています。
 
・この方法がADHDの全員にあてはまるとは思いません。ADHDでも人によって特性は千差万別。あなたの残存能力で出来る範囲の工夫をすることが一番大切です。
 
・いわゆる「空気を読む」ということを定型者が無意識に自然に、難なくやってのけいてるのに気がついたとき、私も驚愕しました。「そんなこと、誰も教えてくれなかったやん」とすらおもいました。でも、コツをつかめば出来るようになるものですね。
 
・思い返せば、大学生の時に、空気が読めるようになりたくて、マニュアル本を読んだり、出来る奴にコツを聞いたりしました。そう考えると、出来るようになるまで12年くらいかかったということですね。空気の読めないハッタツ私でも、12年もかけて空気の研究してたら、ある時から出来るようになるんですね。
 
・そういう意味では、日常生活で獲得できる経験値が、定型者の25%くらい少ないと考えるのが妥当かもしれません。
 
・参考にするキャラ設定ですが、もちろん単一のキャラだけに決めるのはやめといたほうがいいですね。なぜなら、知ってる人にバレるから(笑
 
・各キャラの一側面を抜き出し、それを複数集めるようにすると、バレにくい。寄せ集めキャラです。年数が経てば、いつのまにか自分のキャラになってますから。
 
・このキャラ設定がうまくハマると、遅刻しても許してもらえます。
「あの人は遅刻するキャラやけど、いいとこもある」と言ってもらえたり。
 
・ そもそも「空気読めよ」と言ってくる人の話は、聞いてるフリだけしてスルーしてOK。本当に空気の読める人は、わざわざ口に出さなくても空気で他人をコントロールするから。そんなことを言ってくる人が実は空気読めてない人なのですから。
 
・チームとして活動する場合、確かに共通認識は必要です。だた、共有すべき事柄を空気で回覧するのはビジネスとしてダメでしょ。「空気で分かれよ」というのは、上長の怠慢です。説明するのがめんどくさいだけでしょ。チームとして活動して成果を出したいなら、それこそ空気を読んで、説明すべきことと曖昧にすべきことを判断してくれよ。
 
・「推して知るべし」という日本人の美徳は、自分自身に言うべき言葉であり、他者に対して空気を読むことを求めるのは違う。ひたすらに相手のことを想い、自分の側に置き換える言葉なのです。いわゆる「おもてなし」です。
 
・「空気読めよ」というセリフは言い換えると「俺に『おもてなし』をしろよ」ということになる。それっておかしいでしょ(笑
 
・「ファッション発達障害」というご指摘もいただきました。
すごいね。そんな用語があるんや。知らなかった。ニセ発達障害ってこと?
 
・自分が発達障害であることがファッションになる時代が来たら良いね。
私たちのグループが目指しているのは「一億総発達障害」(笑